チームが目標達成できるかどうかはマネージャーの言葉の使い方次第! ~ メンバーの士気を高めるために、マネージャーはどのような言葉を使うべきか?

多くのクライアント企業の事業の成長/業務変革/営業力強化の支援を行っていますと、「チームが目標達成できるかどうかは、マネージャーの言葉の使い方次第である!」とよく感じます。

チームの意欲を引き出し、確率高く目標達成しているマネージャーの言葉の使い方には「意志」が伴っています。一方、チームの意欲を引き出すことができず、目標達成の確率が良くないマネージャーの言葉は「義務」と感じるものです。この「意志」と「義務」は、使われる言葉の中にどのような違いとして現れているのでしょうか。そして、それぞれの言葉が、チームの意欲へどのような影響を与えているのでしょうか。

今回は、チームの意欲を引き出すマネージャーの言葉の使い方について解説します。チームを率いて目標達成できるかどうかは「マネージャーの言葉の使い方次第」なのです!

メンバーの士気を高めるために、マネージャーはどのような言葉を使うべきか?

このようなマネージャーの言葉の使い方がチームの意欲を低下させる!

あなたの会社/組織の新年度方針やプロジェクトのキックオフミーティングにおいて、マネージャーが下記のような言葉の使い方をしていませんか?

◆ この金額が今年このチームに与えられた目標金額です
◆ トップから指示されたこのチームの今年の目標はこの金額です
◆ どうすれば、この会社で決まった目標金額を達成できるだろうか?

新年度方針やプロジェクトのキックオフミーティングは、チームのこれからの目標を共有化し、メンバーの目標達成への意欲を引き出し、スタートダッシュするために行われます。ですが、マネージャーが以上のような言葉の使い方をすると逆効果となってしまいます。メンバーに「無理!」「できない!」という否定的な感情を芽生えさせているのです。

なぜ、チームの意欲を低下させてしまうのか?

マネージャーが以上で説明したような言葉の使い方をすると、それを聞いたチームのメンバーは、下記のように感じています。

◆ なぜ、今年もこんなに目標が高いんだ!
◆ 無理だよな!
◆ トップからの指示を伝えているだけか!
◆ 結局高い目標を押し付けてくるだけだ!

メンバーがこのように感じてしまっているのならば、新年度方針やプロジェクトのキックオフミーティングは失敗です。

なぜ、メンバーたちに「できない!」という否定的な感情を生じさせてしまっているのでしょうか?

その理由は、マネージャーが無意識に使った言葉の裏側に、「この目標は、私も上層部から押し付けられたもので、この目標を達成することは義務なのだ!」という意味合いが含まれているからです。マネージャーの言葉に含まれた「押し付けられたもの」「義務」の意味合いがチームメンバーへと伝わり、「結局は、押し付けられるもの!」「目標達成なんか無理だ!」「できない!」というメンバーの否定的な気持ちを引き出してしまい、チームの目標達成への意欲や可能性を引き下げてしまっているのです。

チームを目標達成へと導くマネージャーの言葉には「意志」がある

では、チームを目標達成へと導くマネージャーは、どのような言葉の使い方をしているのでしょうか?

チームを目標達成へと導くマネージャーが使っている言葉には、マネージャー自らの「意志」が伴っています。

「俺は、このチームで25億円の売上を達成したいんだ!」

私たちのクライアント企業A社の営業部長Uさんの言葉の使い方は、チームの「目標達成への意欲」を引き出す理想なものでした。前年度、営業部長Uさんは売上目標に対して120%を達成していました。Uさんは今年度の目標として「売上目標25億円」と設定し、それを年間方針としました。

Uさんが新年度方針のプレゼンテーションで語っていた言葉は、「私は、このチーム全員で力を合わせて、25億円の売上を達成したいんだ。私たちならばできるはずだ!」というUさん自身の意志を伴ったものでした。

その時、会社から割り振られた売上目標は23億円だったのですが、それよりも高い売上目標を掲げていました。そして、その営業部長Uさんの意志をともなった言葉に引っ張られたかのように、そのスタッフである営業課長たちも「このチーム(課)で4億を実現したい!」など、彼らの「意志」を伴った言葉をつかっていました。

実は、この営業部長Uさんも課長たちも、以前はこのような「意志」を伴う言葉は使っていませんでした。以前は「これが会社で決まった今期の売上目標だ!」という「義務」の言葉の使い方だったのです。

どのようにしてマネージャーたちの言葉の使い方が変わったのか?

私たちは、このA社に様々な営業力強化の支援を行いました。例えば、営業担当者の営業スキル強化/SFAなどの営業支援システムの導入と最適化/営業プロセスの構築/風土や意識変革、などでした。その営業力強化の一環として、営業マネージャーを対象とした「年間方針作成力の強化」も行いました。

(【参照】【マネジメント基礎研修】 方針作成&推進力強化 ~ 率いる部門を成長へ導き、目標を達成するための方針作成方法!(Hoshin Planning Method)

「年間方針作成力の強化」トレーニングは、率いるチームが確実に目標達成できるようにするために、営業マネージャーの「年間方針や戦略の立案」「実施計画の立案」「最終的な結果に対する評価」のそれぞれを学習/実践するトレーニングです。このプログラムを通して、営業マネージャーたちが、年間方針を掲げるときに上記のような言葉の使い方をするよう変化するまでに、2年半に及ぶ時間がかかりました。

1回トレーニングを行っただけでは、人は十分な成長までには至りません。また、方針の作成は、年に1回もしくは2回しか行うことがありません。方針作成プロセスを何回か体験するだけでも数年かかってしまいます。この「年間方針作成力の強化」トレーニングは2~3年にかけて実施する必要がありました。

A社が実施した「年間方針作成力の強化」トレーニングは、営業部長/営業課長が論理的な年間方針や戦略を立てることだけが目的ではなく、その方針や戦略に作成者の「意志」を伴わせ、チームの意欲を引き出すことも目的の1つでした。このトレーニングを通して、まず営業部長であるUさんが「意志」を伴う表現をし始めました。営業部長Uさんの言葉の使い方に引っ張られるかのようにスタッフである課長が同様の言葉の使い方へと変わっていきました。

そして、チームのメンバーがその言葉を聞き、「リーダーがそれを達成したいのならば、ついていきます!」という意欲の発揮につながったのです。リーダーが「俺はこれだけのことをやりたいんだ!」という自分の意志を伴った目標を語るようになったから、チームメンバーの目標達成への意欲が向上し、その結果として、目標達成できる確率が向上しました。

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「意志」の定着を目指そう!「マネージャーの言葉の使い方」を改善すればチームの目標は達成できる

言葉は、その言葉を発した人の想いや感情を伴って伝搬します。「義務」という想いや感情が背景にある言葉は、ほぼ100%「義務」としてチームに伝わります。そして、「意志」が伴った言葉は、「意志」を伴ってメンバーへ伝わります。誰か一人でも「意志」を伴った言葉を使い始めなければ、チームの中に「意志」が育まれないのです。

この言葉の使い方の変化(意欲の変化)は、A社の社長と取り組んだ営業力強化の重点課題の1つでした。A社のように、体系的なカリキュラムとして営業力強化に取り組んでいる事例は、マネージャーや社員のスキルの向上だけではなく、意識の変化を起こすことの好例といえます。

私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるためのその豊富なノウハウ/経験があります。貴社と力を合わせて、貴社のマネージャーたちの「法人作成力」を強化します。より具体的な内容説明の希望/質問/ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2017年2月19日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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