営業組織は、成果主義から新たな評価方法が必要な時代へ ~ 営業力を強化するために、「営業の品質」を評価し、さらに向上させる方法とは!

先日、テレビ東京「ガイヤの夜明け」で、「新しい働き方 第1回 成果主義を超えろ!」が放送されていました(このノートは2009年11月9日に初投稿し、その後、書き直しをしています)。その番組では「日経ビジネスの調査では、約7割もの人が『成果主義は失敗だった』と答えている」と放送していました。以前、日本の企業が行った成果主義は、本当に失敗だったのでしょうか?

「上から与えられた数値目標だけによる成果主義」ではなく、品質の向上の観点も考慮した新しい評価が必要な時代になりました。そのポイントは「営業品質の向上」です。2020年にコロナ危機に直面したときに「ジョブ型雇用」が注目されましたが、この「営業品質の向上」の考えはジョブ型雇用にも役立つ方法です。

今回は、これからの営業組織に求められている「営業品質の向上」について解説します。

営業力を強化するために、「営業の品質」を評価し、さらに向上させる方法とは!

営業組織において成果主義は何をもたらしたのか?

成果主義とは、実は、「個人の能力」「やる気やモチベーション」、そして、「企業としての成長」を実現するために考えられた評価方法でした。なぜならば、成果主義は、マネジメント手法の一つである目標管理(MBO, Management By Objective)をふまえて行われたものだからです。企業は、目標管理(MBO)というマネジメント手法を通して、従業員の意欲を引き出し、成果を評価し、そのことで企業としてのパフォーマンスの最大化を目指していました。

ですが、日本の企業が行った成果主義による管理と評価は、「会社から与えられた数値目標」だけによって行われ、社員に対して「数値目標を達成しろ!」という指示が中心となっていました。その結果、多くの組織では、「自分の数値目標と達成度のことしか考えない」「お互いの助け合いや若い人の育成をしない」「組織が直面している問題を解決しない」「数値目標さえ達成すればどのような手段や方法でも構わないと考えている」、そして、「社内は白けた雰囲気となり、社員も会社も益々疲弊する」という状態となりました。

今、多くの組織では、個人に対して目標数値を与えるだけの成果主義に代わり、「会社の成果の最大化」と「個人の意欲と成長の最大化」の両方を達成できる新しい仕組みが必要となりました。「ジョブ型雇用」は、そもそも、その両方の達成に効果的な方法でもあるのです。

今の営業組織に求められていることは、営業品質向上の実践!

そのような状況を打破するために、私たちは「営業組織は、営業の品質の向上を目指して挑戦すべき!」を提唱しています。

私たちが考える「営業の品質」とは、「量/質両方の改善による生産性の向上」という意味合いです。以下が、「量/質両方の改善による生産性の向上」の例です。

◆ 目標設定や計画立案の品質を高める
◆ 商談の品質を高める
◆ チーム内のコミュニケーションの品質を高める
◆ お客様との信頼関係の品質を高める
◆ 改善活動の品質を高める

一般的な企業の営業力強化の問題点とは?

営業力の強化は、以下のような段階的に強化します。営業力を段階的に高め、更に高度な営業手法を実行できるようになれば、営業組織のパフォーマンスを継続的に高めていくことができます。

【第一段階】行動量を増やす
【第二段階】商談件数と成約率を強化する
【第三段階】お客様にソリューションを提案していく
【第四段階】主要なお客様と戦略的な関係を構築する

【第一段階】は、営業担当者の売上達成度と行動量を管理する営業の管理方法です。年間の売上目標の達成を目指し、「毎日20件訪問する」や「毎月200件訪問する」など、営業一人ひとりの行動量(面談件数)を管理します。特に、売上目標を達成できていない営業がいたら、行動量を増やすように指導します。この方法は、会社が与えた数値だけで管理しているので、「成果主義」の意味合いが強い管理方法です。

この管理の方法は、営業組織の業績(パフォーマンス)を、ある一定レベルに維持するためには必要な方法です。この営業管理の方法だけを行っている企業でも、ある程度の売上額を維持できていることが多いからです。

ですが、この管理方法には限界があります。この営業管理だけを行っても、会社としての売上が頭打ちします。売上を伸ばすことができない状態になっているのです。なぜならば、先ほど説明したとおり、営業担当者たちは、自分の売上目標と達成度という数値のことしか考えなくなるからです。

「目標さえ達成すればどのような方法でも良い!」という考えとなり、お互いの助け合いや若い人を育てることを行わなくなります。そして、社内は白けた雰囲気となり、社員も会社も益々疲弊してしまい、社員数が増えないために売上も増えないのです。

営業品質の向上を実現する方法とは!

そのため、私たちが多くのクライアント企業に提唱している「営業品質の向上」とは、【第二段階】【第三段階】【第四段階】の営業力強化の対策を行うことで、営業のパフォーマンス向上を目指すものです。

【第二段階】以降の対策は、単なる数値だけのマネジメントではなく、品質的な要素によるマネジメントも合わせて行います。品質的な要素とは「効果性(すなわち率/割合)の評価」と「その向上のための支援」です。

「営業品質の向上」の基本的な考え

品質の向上による営業力強化は、下記のようなアプローチを行い、その結果として営業組織のパフォーマンスを向上するモデルです。

Step1:『営業業務の見える化』を行い、営業を品質として考える基盤を作る
Step2:必要な営業品質を定義し、測定できるようにする。
Step3:営業品質を高める教育を行い、営業担当者が自らの目標を立てて行動する
Step4:営業マネージャーが、営業担当者が立てた目標を達成させる支援や指導を行う

このうち、「Step4:営業マネージャーが、営業担当者が立てた目標を達成させる支援や指導を行う」が、「営業品質の向上」を達成できるかどうかに最も影響を及ぼします。営業品質は、効果性(率/割合)で評価するために、量を減らせば品質を高める(率や割合を高める)ことができます。例えば、100回面談するよりも、受注の可能性が高そうな面談を30回したほうが、面談あたりの受注率を高めることができます。

ですが、「営業品質を高める」ということは、量を減らして品質を高めることが目的ではありません。ある程度の量は維持した上で品質を高めることが重要です。100回面談して5件の受注率であれば、100回面談して10件の受注率へと高めることです。営業マネージャーはそこを見極め、適切な支援や指導をすることが大切です。

「【第二段階】商談件数と成約率を強化する」における営業品質の向上

第二段階での営業品質向上の評価要素は、下記のようなことが代表的な項目になります。

◆ 面談件数と新規商談発掘件数の割合
◆ 保有商談件数と受注率の割合 など

「【第三段階】お客様にソリューションを提案していく」における営業品質の向上

第三段階での営業品質向上の評価要素は、下記のようなことが代表的な項目になります。

◆ 新規商談発見件数のうち、営業側からの提案で生み出した新規商談件数の割合
◆ 競合勝率
◆ 営業利益率 など

「【第四段階】主要なお客様と戦略的な関係を構築する」における営業品質の向上

第四段階での営業品質向上の評価要素は、下記のようなことが代表的な項目になります。

◆ 面談件数とハイレベルへの面談件数の比率
◆ 重要顧客との取引額の成長率 など

営業力強化セミナーのご紹介

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営業力強化セミナーページ

営業品質の向上の効果性が、営業組織のパフォーマンスを決定する!

営業組織全体のパフォーマンスや生産性を高めるためには、以上に解説したとおり、「Step1:『営業業務の見える化』を行い、営業を品質として考える基盤を作る」ことから始めます。これからの時代に、営業組織のパフォーマンスを向上させるためには、「量だけを課す」だけではなく、「営業品質を高める」マネジメントを始めることが重要です。

様々な企業の営業組織強化の支援をしましたが、残念ながら、多くの営業組織はこのような改善が得意ではありませんでした。

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。私たちは、貴社と力を合わせて問題を発見し、あなたの会社に最適な「営業品質を向上する仕組み」を構築する支援をします。より具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2009年11月9日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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