営業会議が役立ってなく、ムダな状態になっていませんか? ~ PDCAに基づき、目標達成に導く「理想の営業会議の進め方」とは!

営業チームで行われている無駄な営業会議が営業組織の生産性を下げている!?

会社に会議はつきもの。関係するメンバーが集まって問題について話し合い、合意を形成する大切な場が会議です。その一方で集まる目的を忘れ、単なる儀式となった生産性の低い営業会議も多いのではないでしょうか。

「何を話し合うのか?」という目的が忘れられ、「集まる!」という手段だけが重要視される会議は、営業パーソン1人ひとりの貴重な時間的リソースを無駄にしているといえるでしょう。会社を長期的な成長へと導くことに役立つ生産性の高い営業会議はどうしたらできるか、こうした視点がいま強く求められています。今回は、目標達成を確実にする理想的な営業会議について解説します。

PDCAに基づき、目標達成に導く「理想の営業会議の進め方」とは!

営業会議を行う真の目的を常に意識していますか?

生産性の高い営業会議を行うためによく言われている重要なポイントは下記のことです。

◆ 事前にアジェンダや資料を準備する
◆ 目標設定に向けた建設的な話し合いの場にする
◆ お互いに学び、成長しあえる場にする

これらはもっともなことですが、実際にはうまく行かないことが多いです。多くの営業組織では、営業マネージャーが一方的に話をしている営業会議が多いようですが、あなたの会社の営業組織では如何でしょうか?

営業会議を行う真の目的は、営業組織と営業パーソン、両方の生産性と業務の品質を高めることです。営業会議は、年間(もしくは半期)の売上目標の達成、そして、継続的な利益の獲得に役立つものでなくてはなりません。そのためには、以上の3つの重要なポイントを考慮した営業会議となっているか、その視点を忘れないことが大切です。

「もっとがんばります!」と言わせている営業会議の2つの問題とは?

一般的な営業会議では、営業マネージャーが会議の進行役を担い、主に今後1~2ヶ月の売上予測について話し合います。会議でよく上司が使う言葉はこんな感じではないでしょうか?

◆ 先月は¥xxx売れた。チームの売上目標を何とか達成できた!
◆ 先月中にABC製作所では受注できなかった。どうして受注できなかったのか?
◆ 今月は¥xxxが売上目標だ。ぜひ達成してほしい!
◆ 売上目標を達成できるだけの見込み商談件数がない者は、お客様への訪問件数を増やしてほしい!
◆ ABC製作所の商談は必ず受注するように!

一般的な営業会議では、上記を話し合うために、以下のような流れで進められることが多いです。

(1) 現時点までの結果、および、上司である営業マネージャーの感想や意見
(2) 営業マネージャーからの一方的な確認
(3) 営業マネージャーからの指示

これらは必要なのですが、このようなことだけの営業会議の進め方では、以下のような問題を引き起こしてしまい、営業目標の達成や営業パーソンの生産性向上に役立つとは言えません。

問題1. 営業パーソンに「言い訳すればいいや」という意識を生み出してしまう
問題2. 営業会議の「がんばれ!」「がんばります!」が改善活動を阻害している!

問題1. 営業パーソンに「言い訳すればいいや」という意識を生み出してしまう

1つ目の問題は、営業パーソンに「言い訳すればいいや」という意識を生み出してしまうことです。

「なぜ、受注できなかったんだ?」と会議の場で聞かれた時、営業パーソンは「急にお客様内の担当者が変わりまして…」「予算が急になくなったので…」「競合がとんでもない値引きをしてきましたから…」「新しい競合が現れたので…」という言い訳に終始します。これでは「がんばったのですが、どうしようもなくて…」という言い訳を生み出す訓練をしているようなものです。本来は「どうしようもなくて…」というような状態にならないようにするために「どうすればよいのか?」の対策を検討することが目的なはずです。

問題2. 営業会議の「がんばれ!」「がんばります!」が改善活動を阻害している!

問題の2つ目は、「考え、実行し、経験し、そして改善する」という改善活動を阻害していることです。

「どのようなことをするのか?」「他の良いアイデアはないのか?」「結果を出すための障害はなにか?」ということを営業パーソンが考えられるようにする必要があるのですが、「がんばれ!」「がんばります!」では営業パーソンが考えることをしません。行動を計画し、実施し、結果をチェックし、そして、次はどう改善すればよいのか、PDCAのサイクルが回っていないのです。PDCAのサイクルが回っていなければ、そこに成長はありません。

このような問題を抱えたままの営業会議を継続すると、本来なら受注できたはずの商談も受注できなくなります。すなわち、成約率が下がります。そして、営業パーソン個人が成長する余地もなくなります。成長を感じなければ、営業パーソンのやる気やモチベーションが下がります。ますます企業の成長が困難になっていくのです。

営業会議に求められる、営業マネージャーの大切な役割はPDCA

営業マネージャーは、どのように営業会議をリードすべきでしょうか?

そのための第1歩は、主に金額が大きい商談に対して、その商談の進捗状況を話し合うことです。まずは、会社内で定義されている営業プロセスにもとづいて、下記の質問をすることでその商談の状況を確認しましょう。

◆ この商談は営業プロセスのどこまで進んでいるのか?
◆ 次のステップへ進めるためには、何をすればよいか?

(【参照】結果を出す営業組織の「営業プロセス管理の教科書」 ~ 営業組織のパフォーマンス(業績)を最大化する強力な方法が、営業プロセスでマネジメントすること!

この2つは、商談のスタート(発見地点)からゴール(受注地点)までの道のり(プロセス)において、この商談の位置(進み具合)を確認し、「受注に向けて何をすべきか」を考えることを促すものです。「いま、どこにいて、どこへ向かっているのか?」「ゴールに近づくためにはどうすればよいのか?」こうした視点でマネージャーと営業パーソンが進捗を確認することで、自然とPDCAを踏まえた計画ができるようになります。

このような営業会議の進め方が理想的!

例えば、ABC製作所へ製造装置の提案をしている商談があったとしましょう。この商談は金額が大きく、営業組織としての2ヶ月後の売上目標が達成できるかどうかに影響を及ぼす重要な商談です。早速、営業プロセスを中心とした商談の進捗管理を行ってみましょう。そうすると営業会議の中で、下記のようなコミュニケーションが行われるようになります。

【営業課長】  この商談はどのような状況だ?

【営業Aさん】  今は予算申請中です。

【営業課長】  なるほど。では、この商談を注文に結び付けるためには何が必要だ? 今、予算申請だから、次のステップは要求仕様だな。要求仕様はどのような状況だ?

【営業Aさん】  お客様はまだ最終的な要求仕様を決められていないようです。

【営業課長】  では、私たちができることはないか?

【営業Aさん】  そうですね、次のステップは要求仕様ですから、お客様がそれを決定するまで待つしかないですね。

【営業課長】  お客様の購買プロセスを先へと進めるために他に協力できることはないかな?

【営業Aさん】  詳細な仕様書をお客様に渡すことくらいでしょうか?

【営業課長】  なるほど、なにかアイデアのある人はいないか?(他の営業パーソンにもアイデアを求める)

【営業Bさん】  話を聞いていると、この案件は数ヶ月前に受注したDEF工業の案件と似ているので、「DEF工業の要望」と「その要望がDEF工業にどのように役立ったか」の2つを提案するのはどうですか。その資料はあったと思います。そのままABC製作所に使われるのは問題ですが、少し修正すれば使えると思います。

【営業Aさん】  なるほど。こうした商談では、お客様の要求仕様が早く決まる手伝いをすれば、先へと進むかもしれませんね。その事例を利用してすぐに実施してみます。

【営業課長】  では、この商談は「来月、お客様が要求仕様を決定すること」を目標としよう。活動結果を来月報告してくれないか?

このように、営業プロセスに基づく商談の進捗管理を行うことで、ひとつひとつの商談に対してのPDCAを検討できるようになります。それぞれの商談の目標を設定し、それを実現するために何をするかを決め(Plan)、その計画通りに活動し(Do)、その活動結果を評価できます(Check)。何をするか(Do)に関しては、チームで様々な意見を出し合うことで、相互に学び合うこともできます。また、このような盛んなディスカッションを通じて、営業パーソンが持っているお客様の課題をチーム内で共有し、新たな商談を開拓することに活用することも可能になるでしょう。

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(本ノートは、2008年2月24日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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