結果を出すために必要な「合理的な思考力/遂行力」を持つ社員が不足している! ~ 「結果を出すことができる社員」へ、社員の「合理的な思考力/遂行力」を強化する方法!

多くの企業が長期的な成長を目指しています。ですが、成長への壁にぶつかり、その壁を乗り越えられず、成長が足踏みをしている企業も多いです。

私たちは、多くのクライアント企業の業績(パフォーマンス)向上/業務改善のお手伝いをしています。その支援を通して、「企業の成長の壁は、社員の能力の壁だった」という場面に幾度も出くわしました。

業績向上/業務改善は、合理的な思考力/遂行力がなければ成し遂げられません。成長できていない企業では、社員たちがその合理性を発揮できていなかったのです。企業の成長には、社員たちが合理的に業務を遂行する能力が必要です。

今回は、「企業の成長に貢献できる社員が持つべき合理的な思考力/遂行力とはなにか」、そして、その強化方法を解説します。

「結果を出すことができる社員」へ、社員の「合理的な思考力/遂行力」を強化する方法!

企業の成長に向け、社員の能力が壁となっている!

今、多くの企業が挑戦している課題とは?

私たちは、クライアント企業の業績(パフォーマンス)向上/業務改善の支援をしていますが、クライアント企業が私たちに依頼してくる理由は、概ね以下の5つの課題に分類することができました。

◆ 成長が頭打ちしている。次なる成長を実現したい!
◆ 社員が変化に抵抗する、自分で考えて行動する社員へ変えたい!
◆ 業務モデルをさらに効果の高いものへ変化させたい!
◆ 新しい事業に挑戦したい!
◆ 多少は成長しているが、現在の成長度合いには満足できていない。大きな成長を目指したい!

多くの企業が企業成長に向けて「社員の能力の壁」にぶつかっている!

支援をしたクライアント企業の多くは、成長の壁にぶつかっていました。企業としての業績(パフォーマンス)が頭打ちとなっており、年間の売上金額/利益を更に増やすことができていない状況でした。クライアント企業の支援をしていると、その原因の1つは「業績向上や業務改善を実行する社員の能力が壁となっている」という場面にいくども直面しました。

社員たちは真面目に日常業務を遂行していました。その日常業務は問題ないのですが、業績向上や業務改善のための「合理的な思考力/遂行力」が発揮できていなかったのです。

成長の壁に直面している組織の状態とは?

事例1. IT企業の営業方針は3年間変わっていなかった!

あるIT企業の営業マネージャーの能力強化を行うことになりました。その支援方法を計画するために、営業部長が過去作っていた3年間の年間営業計画を見せてもらいました。

【テーマ】 お客様の声を聞く
【目 標】 売上 xx億円、営業利益 x億円達成
【施策1】 市場開拓
【施策2】 営業マネジメント体制の改善

3年間の年間営業計画は、毎年上記のようなものでした。営業計画3年分に書かれていた内容はほとんど同じで、変化や進化を感じるものではありませんでした。この営業部の3年間の売上実績は年々減少していました。すなわち、立案した年間営業計画は3年以上機能してなく、部署として成長できていない状態でした。

事例2. 営業戦略がはっきりしていなかった!

あるクライアント企業からの営業力強化の依頼があり、組織としての業績(パフォーマンス)向上の支援をしました。その社長から依頼されたことは下記でした。

◆ 営業力の強化に力を貸して欲しい。
◆ 数年後にxxx億円の事業規模を実現したい(現在の売上の約2倍)
◆ 市場の競争が激化しつつあり、社員(特に営業マネージャー)の能力を向上する必要がある。
◆ 新しい事業にも挑戦しなければならない。

このクライアント企業の業績向上の施策を検討するために、この企業の営業部長が作っていた営業部方針を見せてもらいました。その営業部方針の内容は下記でした。

【売上目標】 50億円
【訪問数】 月120件/新規開拓50件
【テーマ】 お客様との絆の強化/自分らしさの発揮/ライバルとの差別化
【戦 略】 重点ユーザーへの接触度の増加
【ポイント】 アンテナを張る/ライバルができないことをする/お客様の「ありがとう」を増やす

「営業部長がどのような想いや考えでこの営業部方針を作ったのか」質問したときの会話の1つは、以下の様なものでした。

【私】 今、一番の問題は何でしょうか?

【部長】 一番の問題ですか。それは、営業の意欲が乏しいことですよ!

【私】 なるほど。ちなみに、この方針には「重点ユーザーへの接触の増加」と書いてありますが、なにか問題があったのですか?

【部長】 単純に、営業たちはもっとたくさんお客様を訪問できるはずなんですよ。ですが、そう言い続けても、営業たちは訪問件数を増やさないんです。

営業部長が考えていたことは、感覚的/抽象的なもので、データなどを活用して合理的に導き出せていないことがわかりました。本質的な問題や原因を掴めていなかったのです。

事例3. 計画そのものが明らかではなかった!

人材系ビジネスをしているクライアント企業の部長から、部下である課長たちのマネージャー力強化のコーチングの依頼をいただきました。実際に、コーチング活動に入るために、部長方針を教えてもらいました。

【目標】 売上 25億円達成!
【課題】 売上単価の向上/新事業の立ち上げ

この方針に対して、この部長に幾つかの質問をしました。以下は、そのうちの1つで、課題「新事業の立ち上げ」について話を伺ったときのものです。

【私】 昨年の達成度はどのような状況ですか?

【部長】 まあ難しいですよ。ある製品の拡販を図っているのですが、うまくいっていません。新規事業なので、2~3年はかかるとは思っています。

【私】 なるほど。新事業は時間がかかってしまいますからね。では、その新事業の昨年の達成基準はなんだったのでしょうか?

【部長】 昨年のですか。達成基準は、特に決めていなかったですね。

この部長の今までの方針の改善点を説明したところ、「そのようなことまで考慮して作らなければならないのか。いままでは、そのような方針を作ったことがない。ぜひ作りたい。」と関心を持っていただきました。その後、この部長へ「方針の作り方コーチング」を実施することになりました。

共通している社員の問題とは?

3社の事例を紹介しましたが、業績(パフォーマンス)向上や業務改善は、もっと合理的であるべきです。

確実に目標を達成するためには、感覚的に問題を感じるだけではなく、できるだけデータ化し、より具体的に把握する必要があります。新規事業のように数年にわたり実施する必要があるプロジェクトでも、毎年の達成基準(マイルストーン)を定め、毎年の達成状況を確認しながら合理的に行うべきです。

以上のように、業績向上/業務改善、そして、企業の成長の壁となっているのは、社員たちの合理的な思考力/遂行力です。

合理的な思考力/遂行力を言い換えると、現状把握力と実施計画力ともいえます。社員たちの合理的な思考力/遂行力(現状把握力と実施計画力)を強化すれば、業績向上/業務改善ができ、パフォーマンス(業績)を確実に向上させることができます。

合理的な思考力/遂行力(現状把握力と実施計画力)とはなにか?

現状把握力とは?

現状把握力は、以下の2つの要素で構成されています。

◆ 「今、どのような問題が起こっているか?」を把握し、人に説明することができる
◆ 「どのような状態を目指すのか?」を把握し、人に説明することができる

特に重要なことは、「人に説明することができること」です。他の人に説明できなければ、他の人から協力を得ることができません。

もう少し具体的には、下記のような観点で、現状把握力を発揮する必要があります。

◆ 「社外で起こっている問題」と「社内で起こっている問題」の両方について、把握できていること。「社外で起こっている問題」とは、市場やお客様/競合/パートナー企業などにかかわることで発生している問題。「社内で発生している問題」とは、上司と部下/関係部署/メンバーの能力などにかかわることで発生している問題。
◆ 「単なる意見」として把握するのではなく、「実際に起っている問題」そして「数値としての裏付け」まで把握できていること。
◆ 「どのような状態を目指すのか?」についても同様に、抽象的な「目指す状態」だけではなく、「数値としての達成基準」も含めて明確にできること。

実施計画力とは?

実施計画力とは、以下の3つの要素で構成されています。

◆「将来、実現すべき状態」を実現するためのタスクを立案できること
◆ それぞれのタスクの達成期限を明確にできること
◆ それぞれのタスクの実施者を明確にできること

合理的な思考力/遂行力(現状把握力と実施計画力)はどのように強化するか?

現状把握力と実施計画力を強化する方法は、シンプルです。それは、以下の3つを文章にまとめ、そのまとめた内容を他の人と議論(ディスカッション)することです。

◆ 現在、直面している問題
◆ 将来、実現すべき状態や達成基準
◆ そのための実施計画

この能力を高めるために重要なポイントは、この議論を繰り返し行うことです。ボディービルダーが時間をかけて肉体を作り上げるように、繰り返しの訓練をするから思考力を鍛えることができます。私たちの過去の支援の経験上、上記のようなことを5回は繰り返し訓練をする必要があります。その際、適切にコーチできる人がその議論に参加してフィードバックをすると、より効果的に強化することができます。

また、若いうちに始めることも重要です。様々なクライアント企業にこの現状把握力と実施計画力強化の支援を行いましたが、年齢が高い人は効果が乏しくなります。年齢の高い人すべてがそうだとは言いませんが、今までの仕事のやり方が染み付きすぎており、なかなか受け入れようとしないのです。

成長力強化セミナーのご紹介

『組織』と『個』の相互の成長に役立つ『プロフェッショナル育成』などのセミナーを毎月開催しています。ぜひご参加ください。

【ハイパフォーマーセミナー】結果を出すビジネスパーソンの論理思考 ~ 結果を出す人に必須となる合理的な思考力/遂行力強化のトレーニング方法

【ハイパフォーマーセミナー】ハイパフォーマーの必須条件・組織問題の解決策立案メソッド ~ 組織問題を解決できるプロフェッショナルになる!

【マネジメントセミナー】「停滞の壁」を突破し、事業を成長させる! ~ 中小企業/ベンチャー企業の経営者が、事業拡大を可能にする「事業の仕組み化」

その他の成長力強化セミナー

成長力強化セミナーページ

企業の成長に向けた行動を始めよう!

今、多くの企業が挑戦している課題は下記です。

◆ 成長が頭打ちしている。次なる成長を実現したい!
◆ 社員が変化に抵抗する、自分で考えて行動する社員へ変えたい!
◆ 業務モデルをさらに効果の高いものへ変化させたい!
◆ 新しい事業に挑戦したい!
◆ すでに成長しているが、現在の成長度合いには満足できていない。大きな成長を目指したい!

このような課題を確実に解決するためには、合理的な思考力/遂行力(現状把握力と実施計画力)を持つ社員が必要です。ですが、このような社員が不足しているのが現状です。

私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウ/経験があります。私たちの得意分野は、このような「企業の長期的発展に必要とされる自ら考えられる社員」を育てることです。そのための様々な学習機会を提供し、情報を発信しています。あなたの会社内で実施してもうまく行かなければ連絡ください。私たちが、あなたの会社の合理的な思考力/遂行力(現状把握力と実施計画力)を強化します。

(本ノートは、2016年05月08日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
Copyright (C) 2016-2023 T-SQUARE Co., Ltd. All rights reserved.

お問い合わせ

ご質問/ご依頼など当社へのお問い合わせ

関連するソリューション

【事業成長力強化研修】チームで挑戦する『事業成長への行動』推進モデル ~ 事業計画達成に貢献する組織課題解決力を強化!(Driving Model for Growth)

【マネジメント基礎研修】 リーダーやマネージャーとして「チームを率いて結果を出す仕事の技術」 ~ チームを「目標達成」「持続的成長」させるスキルを強化(Manager’s Business Technics)

【マネジメント基礎研修】 方針作成&推進力強化 ~ 率いる部門を成長へ導き、目標を達成するための方針作成方法!(Hoshin Planning Method)

ティ・スクエア プロフェッショナル人材育成ソリューション 一覧

一緒に読まれているノート

チーム・組織を率いて業績改善プロジェクト(パフォーマンス向上プロジェクト)を成功に導く技術 ~ リーダーやマネージャーとして「チームを率いて結果を出す仕事の技術」(4)

相手に決断と行動を促すビジネスプレゼンテーションは、どのように準備するか? ~ プレゼンを成功させるために必須となる3つのステップ

事業と個人の両方の成長に向けた「社員の実行力」を強化する! ~ 成長している企業が実施している目標管理(MBO)の運用方法の解説

成長できる組織 vs. 成長できない組織、その差を生む要因とは何か? ~ 企業を発展・成長させる組織体制を作る手順

業績の改善/生産性の向上を確実に成功するためには! ~ 業務改善/生産性向上は、3つのステップで遂行することで確実に結果を出せる

ジョブ型雇用制度は導入を目的とすると失敗する! ~ 組織・事業・社員が成長し、企業が持続的に発展するための「ジョブ型雇用制度」への移行方法

事業成長&組織課題解決ケーススタディ「エンジニアリング会社」 ~ クロスファンクションチームが、業務部のパフォーマンスを20%向上

無料メールマガジンの登録

『組織』と『個』の相互の成長に役立つ『プロフェッショナル育成』と『営業力強化』の情報を月1~3回お届けしています。

当社無料メールマガジンのご登録フォームへ