優秀な営業社員を増やすには、「優秀な営業社員」の中間採用すればよいのか? ~ 会社内に、優秀な営業社員を増やすための基本的な2つの対策

「優秀な営業社員」を増やすためには、どうすればよいでしょうか?

外資系企業やベンチャー企業などに多いのですが、「即戦力となる優秀な営業社員を中間採用しよう!」と躍起になっている企業があります。営業経験者を中間採用しますが、せっかく採用してもすぐ辞めてしまうという問題にも直面していることも多いです。

一方、「優秀な営業社員の中間採用!」よりも「新卒採用して優秀な営業社員へ育てる!」を重視する企業もあります。「優秀な営業社員を中間採用すること」と「新卒採用から優秀な営業社員を育てること」のどちらが、あなたの会社にとって効果的でしょうか?

「営業力が強い」ことは、企業としての目標を達成するための必要条件の1つです。「優秀な営業社員を採用しようとしている企業」と「優秀な営業社員を育てようとしている企業」の比較を通して、「企業が求める優秀な営業社員の姿」および「優秀な営業社員を増やす方法」を解説します。

会社内に、優秀な営業社員を増やすための基本的な2つの対策

優秀な営業社員を採用した、しかし、企業の成長は役立っていない!

時折、「優秀な営業社員さえいれば…」と嘆く経営者/営業マネージャーと出会います。会社の売上目標達成/率いるチームの売上目標達成に悩んでいるようで、「優秀な営業社員さえいれば、そんなことに悩まなくても良いのに」と考えています。確かに、優秀な営業社員がいれば、その人が売上目標の達成に貢献してくれそうです。その上、毎年継続して売上目標を達成してくれることも期待できます。

ですが、優秀な営業社員を1人採用できたとしても、さらに高い営業目標を達成するためには1人では足りません。2人目、3人目と優秀な営業社員を増やしていかなければなりません。しかし、現実に目を向けてみると、1人目の優秀な営業社員を採用することですら簡単ではありません。「優秀な営業社員を雇いたい」と思っても、その優秀な営業社員を見つけることができず、最初からつまずいてしまうことも多いです。

仮に見つかったとしても、優秀な社員であれば、他の企業もその人を採用したいと思っているために、相手が要求する給料は高くなり、折り合いがつきません。仮に採用できたとしても、その人が会社を辞めてしまえば、それで終わりです。また、優秀な営業社員のマネジメントは簡単ではありません。そのような優秀な営業社員をマネジメントできないと、会社内の規律が乱れてしまうこともあります。会社の規律が乱れた上に、せっかく採用した優秀な営業社員が辞めてしまうのです。

私たちとお付き合いがあった企業の幾つかは、企業の成長のために営業社員を中間採用していました。すぐに高い結果を出してくれる「即戦力」がほしかったようです。ですが、これらの企業では、採用した営業社員のほとんどは1~2年で辞めてしまっていました。せっかく採用しても定着しなかったのです。

営業社員の中間採用から、営業力を強化している企業も有る!

ですが、幾つかの企業は、即戦力となる営業社員を採用し、その営業社員たちが結果を出していた企業もありました。それらの企業では、即戦力となる営業社員の採用だけをしているのではなく、「営業社員の育成」も合わせて行っている企業でした。

営業社員に力を発揮させるためには、営業社員の育成が大切です。「企業を長期的な成長へ導きたい」と考えるならば、優秀な営業社員が行っている計画立案や行動を把握し、ほかの営業社員が同様のことをできるようにする育成が最も現実的で合理的な解決策です。そうすれば、せっかく採用した営業社員がすぐ辞めてしまうことも少なくすることができます。

営業社員は新入社員から育てている!

反面、営業社員の中間採用をするよりも、新入社員から育てることを選択している企業もあります。最近、企業が扱う商材はますます高度化/複雑化しています。特に、法人営業(BtoB)では、高度な専門知識が必要となります。そのような人を中間採用するには、高額な採用コストがかかります。それに、その会社の企業風土になじめる人を雇えるとは限りません。そのために、これらの企業では新入社員として企業文化を尊重する意識を含め、営業社員を育成しています。

中途採用と新卒採用、どちらが効果的か?

以上のように、営業社員を中途採用するか新卒採用をするか、企業によってその対策は様々です。では、どちらが効果的なのでしょうか?

中間採用をするか新卒採用をするか、その判断に必要なことが「時間の尺度」です。一日でも早く成果を出し、組織の目標達成に貢献してほしければ中間採用が選ばれます。ただし、当たり外れがあります。採用した人が期待通りではないこともあります。または、成果を出す前に辞めてしまう人も多いです。逆に、チームへの一体感/企業文化を尊重したいのであれば、新卒採用してその教育を行うことが大切です。若干時間がかかっても、企業文化を含めて学ばせ、営業社員を育成できます。

ですが、どちらのケースでも、重要なことは「採用しただけで終わりではない」ということです。企業内で優れた結果を出す営業社員へ育てるためには、どちらの採用方法においても育成/教育することが必要です。すなわち、採用コストばかりに投資をするのではなく、その投資を育成にも振り当てることが企業の目標達成の確度や成長に大きな影響を及ぼします。

企業が育てるべき「優秀な営業社員」の姿とは?

今の時代、企業が必要としている優秀な営業社員とは、どのような営業社員でしょうか?

優秀な営業社員について聞いてみると、「売上目標(売上予算)を達成できる人」という回答が多いです。ですが、それはあくまでも結果のこと。そのような結果を出すために「必要となる思考特性や行動特性があるか?」が重要です。この思考特性や行動特性に着目し、それを具体的にするから「優秀」といわれる営業社員を育成することができます。売上目標(売上予算)を達成し続ける優秀な営業社員には、以下のような4つの特長があり、このような営業社員の思考特性と行動特性を継続して強化し続ける必要があります。

◆ その1:重要な顧客を特定し、そのお客様を大切にしていること
◆ その2:価値を提案しようとしていること(紹介ではなく提案)
◆ その3:状況を正しく判断できていること
◆ その4:目的と計画性を持って積極的に行動していること

「優秀な営業社員」を育成する方法とは?

優秀な営業社員を育成する1. ベンチマーク方式

以上で説明した優秀な営業社員を育てるためには2つの育成方法があります。1つ目は、ベンチマーク方式による営業社員の育成です。ベンチマーク方式の営業社員の育成とは、優秀な営業社員の特性を明確にし、その優秀な営業社員と他の営業社員の違いを明らかにすることで、優秀な営業社員が行っている計画や行動を他の営業社員が学べるようにする育成方法です。

具体的には、まず営業の業務プロセスを明確にすることから始めます。その営業の業務プロセスを基軸として、優秀な営業社員の思考特性/行動特性の要因を明確にします。そして、その思考特性/行動特性に基づいて、他の営業社員がどの程度できているかを明らかにします。その差に対する対策をとっていくのです。

(営業プロセスにつきましては、営業プロセス最適化の教科書 ~ 営業社員組織のパフォーマンス(業績)を最大化するもっとも強力な施策!を参照ください)

本来、営業社員の育成はこのように行うべきですが、多くの企業では優秀な営業社員の思考特性/行動特性を明確にすることができていません。優秀な営業社員の思考特性/行動特性を分析・体系化しないまま、営業マネージャーが営業社員へ「あの人を見習え!」と指示しても、営業社員たちは、優秀な営業社員と同様のことをうまく行うことができません。それどころか、以下のような不満やぐちが増えるばかりです。

◆ 上手く行かない!
◆ あの人だから出来ることだ!
◆ 本当にそれが効果的なのか?

「自分は成長できているんだ!」と実感することができず、また、どのように自己改善すればよいかわからない状態です。その結果として、社員たちは下記のことを感じ始め、会社を辞めてしまうのです。

◆ ここでは自分が成長できない
◆ ここでは自分は貢献できない
◆ ここでは自分は必要とされていない

優秀といわれる営業社員を育成する2. 釣り上げ方式

もう1つの方法は、優秀な営業社員がさらに高い成果を出すための教育です。

◆ 選抜された優秀な営業社員に、より高度な教育の機会を提供する
◆ 優秀な営業社員が、他の営業社員へ教育する機会を提供する(教育したら報酬を提供する)

これは、いわゆる「釣り上げ方式」による強化方法です。「優秀な営業社員がさらに優秀になれば、ほかの営業社員もその優秀な営業社員につられて能力や成果が段々と高まっていく」という考えに基づいています。

水を入れた風船を想像してください。風船に水を入れて口をしばり、それを机の上に置くと平べったくなります。その状態で口の部分を持ち上げるとまわりも引っ張られるように上がります。

成績が伸びない営業社員を教育するよりも、優秀な人がもっと売れるようにするほうが投資対効果は格段に高いのです。

また、報酬というのは、金額的な報酬だけではありません。上で説明したとおり、「優秀な営業社員に、より高度な研修に参加する機会を与える」や「優秀な営業社員が他の営業社員に教える役目を担う」という機会の提供も十分「その人のやる気を引き出す報酬」としての効果があります。優秀な営業社員は、人に教えることでますます優秀になっていきます。そして、他の営業社員たちもその優秀な営業社員から学ぶことで、スキルや成果が高まり、しだいに誰でもがその優秀な営業社員と同じことができるようになっていきます。

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さあ、優秀な営業社員を増やす仕組みを作ろう!

優秀な営業社員を増やす基本的な2つの方法を解説しました。「優秀な営業社員を外部から雇う」のほうが手っ取り早いように思えますが、私たちが見てきた「中間採用だけを行なっている企業」は、十分に成長できていない企業の方が多かったです。それらの会社では、採用した社員の定着率は悪く、そのために様々な情報やノウハウが蓄積されず、売上を減少させていることすらありました。30億円程度もあった売上が数年で10億円程度まで減少してしまった企業もありました。

企業が長期的に成長するためには「投資」が欠かせません。特に、「営業力を強化する」という観点では「ただ教育をする」という場当たり的な投資ではなく、ここで説明した育成の仕組みを作ることが大切です。本来、「優秀な営業社員の育成」の投資対効果は高いです。効果的な投資を行うことで優秀な営業社員を育成しつづけている企業は存在しています。

また、これらの仕組みはプロジェクトとして構築することが必要です。「育成する仕組みを整える」ということは、知識を有する専門の人が行うからこそ効果的に遂行することができます。多くの企業は、営業部長や人事部門が片手間に実施している状況ですが、片手間に実施して成果をあげられるようなことではありません。このことは、「営業力強化」の投資をしても、優秀な営業社員を育成できていない原因の1つです。

是非、貴社でも優秀な営業社員を育てる仕組みを作ってください。その上で、疑問や懸念があればいつでもお問い合せください。あなたの会社の営業力を強化する支援ができることを楽しみにしています。

(本ノートは、2008年1月28日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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