お客様との信頼関係を構築するもっとも強力な方法とは? ~ 営業成績のV字回復にも必須となる顧客関係強化対策!

企業がより一層成長するためには、重要なお客様との信頼関係をさらに深め、かつ、そのお客様に今以上の貢献をすることが大切です。そのようなことを通して、そのお客様との取引額を最大化できます。

クライアント企業の営業力強化を支援してわかったのですが、多くの営業担当者は、「お客様との信頼関係ができている!」と考えています。ですが、信頼関係が構築できているはずなのに、それが企業としての業績にも、営業担当者個人のパフォーマンスにも結びついていないのです。

今回は、お客様との関係が企業の業績や営業担当者のパフォーマンス向上に役立っていない原因、そして、組織としてお客様との信頼関係を強化し、業績を向上するための営業モデルについて解説します。

営業成績のV字回復にも必須となる顧客関係強化対策!

多くの営業がしている「お客様との信頼関係」の勘違い!?

多くの営業担当者は、「自分はお客様と信頼関係ができている」と考えています。ですが「お客様と信頼関係ができている」にもかかわらず、それが個々の営業担当者の目標達成に役立っていないことも多いです。

その原因の1つは、人によって「お客様との信頼関係」の解釈が違っていることです。多くの営業担当者は、「普段からよく面会できていて、長いお付き合いができているお客様」を「信頼関係ができているお客様」と考えています。

このような解釈をする営業担当者へ、「そのお客様が現在抱えている課題や悩みを説明してください」と質問すると、説明できないことが多いです。普段からよく会えていますし、継続して取引ができているお客様なのですが、その人の抱えている課題や問題を理解できていないのです。

わたしたちが考えている「信頼関係ができているお客様」とは、「普段からよく面会できていて、長くお付き合いしているお客様」ではありません。

「抱えている課題や悩みについて相談を受ける関係にあり、一緒にその課題や問題の解決に挑戦しているお客様」が「信頼関係を構築できているお客様である」と考えています。特に、投資額の大きいお客様とこのような「信頼関係」を構築することは、営業担当者個人のパフォーマンスの向上だけではなく、企業の業績向上にも大きな影響を及ぼします。

お客様との信頼関係はどのように強化するか?

私たちが定義しているお客様との信頼関係(抱えている課題や悩みについて相談を受ける関係にあり、一緒にその課題や問題の解決に挑戦している関係)を強化していくためには、営業担当者の「お客様への接し方(コミュニケーションや行動など)」を変えなければなりません。

ですが、営業担当者へ「コミュニケーションや行動を変えろ!」と言っているだけでは変わることはありません。お客様との信頼関係を本当に強化したければ、新たな営業方法をモデル化(プロセス化)し、営業担当者たちがそのモデルを遂行できるように研修やコーチングを実施することが重要です。

お客様に対する一般的な営業の活動は?

多くの企業の営業方法は、通常「お客様からの問合せ」から始まり、商談を進め、注文をいただき、最終的に売掛金を回収して終わる、という流れです(下記①から⑥)。

① 問合せ
② ヒアリング
③ ご提案
④ 見積書提出
⑤ クロージング(注文を頂く)
⑥ フォロー(売掛金を回収)

この営業活動の流れは、「お客様に1回売れれば良い(1回取引できれば良い)」という営業組織には効果的です。ですが、お客様との長期的関係を構築し、取引額を大きくしていきたい営業組織には適していません。

お客様が購入する時の活動は?

営業側が考えているプロセスに対し、お客様には購買プロセスがあります。法人のお客様がモノやサービスを購入する時には、一般的に下記の手順で行います。

① 課題設定
② 予算計上
③ 要求条件(仕様)
④ ベンダー選定
⑤ ソリューション選定
⑥ 交渉・発注
⑦ 納入・検収
⑧ 効果測定

(購買プロセスについてより詳しく知りたい方は、「目標達成できない営業担当者が、売上目標を達成できるようにするための方法とは? ~ 購買プロセスに沿ってシンプルな案件管理を行うことが鍵」を参照ください)

一般的な営業のプロセスがお客様との信頼関係を深めることができない原因とは?

営業担当者が考える「営業活動の終わり」はお客様の考える「購買活動の終わり」ではない

販売する側の営業の視点の営業モデルと、購入する側のお客様の視点の購買プロセスを重ね合わせたものが下の図です。

多くの場合、営業担当者が商談の存在に気がつくのは、お客様の購買プロセスの「②予算」もしくは「③要求条件(仕様)」あたりです。また、営業担当者の考える商談の終了は、お客様の購買プロセスですと「⑦納入・検収」に相当します。

着目してほしいのは、「営業担当者とお客様、それぞれの活動の終了について」です。営業担当者が商談の終了(図の「⑥ フォロー(売掛金を回収)」)と考えている時点は、お客様側の購買プロセスでは「⑦納入・検収」に相当します。営業担当者の考える商談の終了は、お客様側の購買プロセスでは、まだ「終わり」ではなく、以下のことが続いている途中なのです。

◆ 購入した商品やソリューションを実際に活用している
◆ 購入した商品やソリューションで、どのような効果があるのかを検証している
◆ 「効果を出せなかった要素は何か?」もしくは「次の対処すべき課題は何か?」を明確にし、次のプロジェクトを進めようとしている

繰り返しになりますが、営業側は「売れたので商談は終わった!」と考えています。しかし、お客様側としては、この後から本当に大切な活動が始まるのです(「⑧効果測定」の活動が始まる)。


「お客様との信頼関係構築」が十分ではない営業担当者の状態

多くの企業の営業担当者が行っている「お客様との信頼関係の強化」の方法は、下記の方法です。

◆ お客様との面談回数を増やす
◆ 雑談などコミュニケーションを増やす

すなわち、営業担当者たちは、「⑧効果測定」に関わる活動がお客様との信頼関係の強化に役立つことを理解していません。

そのため、お客様との信頼関係の構築に役立つ具体的な行動をしていないのです。冒頭でもお伝えしましたが、営業担当者たちに「お客様は、この購入によってどのように喜んでくれたのか?」と質問してみてください。下記のような表現を使って、「お客様の導入効果」を具体的に説明できる営業担当者はほとんどいません。

◆ XXXで活用している
◆ XXXのような効果があった
◆ 今後、XXXという問題を対処していきたいと考えている

以上のように、本当の意味でお客様と信頼関係が構築できている状態ではなく、「仲良く話ができる関係」というだけの営業担当者が多いのです。「仲良くなること」と「信頼関係を構築できること」は全く違います。「仲良くなる」ということだけでは、そのお客様との取引額を最大化することはできないのです。

お客様との信頼関係を強化するために必要な営業モデルとは?

「お客様との信頼関係を本当に強化したい」と考えるのであれば、お客様側の購買プロセスの要素である「⑧効果測定」への対応を含めた営業モデルを構築することが大切です。具体的には、営業モデルの「⑥ フォロー(売掛金を回収)」に、以下の活動を盛り込みます。

◆ お客様の選定理由を把握する
◆ お客様の導入効果を把握する

以上に解説したように、このようなお客様の「選定理由」や「導入効果」の情報は、「お客様との信頼関係の構築」のためだけに役立つものではなく、他のお客様で新規商談を開拓することにも役立ちます。営業担当者が、このような情報を集めていないから、十分な新規商談を開拓することができていないのです。

また、時には、私たちの商材を購入しても、お客様は、当初直面していた課題や問題を十分に解決できていない場合があります。もし、十分に解決できていないのであれば、営業担当者にとっては、次の商談のチャンスでもあるのです。

営業モデルの「⑥ フォロー(売掛金を回収)」の部分に「お客様の選定理由を把握する」「お客様の導入効果を把握する」という活動を追加することは、営業担当者が自分のパフォーマンスを最大化することにも大きな効果があります。

「営業担当者が販売した後は、設置や修理などのサポートの仕事だから、サポート部隊が行えば良い!」という意見もあります。しかし、サポート担当者が行うことは基本的には下記のことに限定されます。

◆ 製品の取扱説明などのQ&Aに対処する
◆ 故障や不具合があった時にその対応をする

つまり、サポート担当者がお客様と「どのような効果があったのか?」「まだ解決できていない課題は何か?」について話し合うことはありません。あくまでも、販売した商品やサービスに対するサポートに限られます。お客様の購買プロセスにおいて、すべてのステップでお客様にコンタクトできるのは営業担当者しかいないのです。

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営業成績が低迷した企業も、この方法で業績を回復!

ある大手IT企業の営業部は、売上の低迷に直面しました。そこで、新しい営業部長が着任し、その営業部の立て直しを行いました。その営業部長が営業担当者たちとともに実施したことは、下記の2つでした。

◆ お客様が以前購入したときの「当社を選んだ選定理由」と「その後の導入効果」の調査
◆ そのお客様が現在挑戦している課題や直面している問題の調査

数ヶ月、このようなお客様を理解する活動に集中しました。それによって、お客様との信頼関係が少しずつ育まれ、半年後にはその営業部の業績は向上し始めました。この大手IT企業の事例からわかるように、このノートで解説している方法は、営業成績のV字回復にも有効な対策でもあるのです。

「お客様との信頼関係を築く」ことは簡単ではありません。組織として営業モデルを作ることから始める必要があります。そして、信頼関係が構築できる営業モデルが機能することで、お客様との取引額は継続的に増やすことができるようになります。

もし、「自分はお客様と信頼関係ができている」と営業担当者は考えているのに、そのお客様の売上が継続的に増加できていないのであれば、営業モデルに問題があります。営業モデルを見直す必要があります。

私たちの使命は「クライアント企業を成長に導く営業モデルを構築する支援をすること」です。私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。お客様との信頼関係に問題を感じていらっしゃれば是非お問い合せください。お客様との信頼関係を構築するだけではなく、売上成長(Sales Growth)の達成も支援をします。「企業と企業の信頼関係」を構築し、取引額を最大化させましょう。より具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2008年2月10日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
Copyright (C) 2008-2023 T-SQUARE Co., Ltd. All rights reserved.

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